教員・公務員のための「人生100年・資産寿命を延ばす10話シリーズ

退職金2,000万円が、20年後には1,600万円の価値に?
定年退職を迎え、長年の労働への対価として受け取った退職金2,000万円。通帳の数字を見て、ほっと安心された方も多いでしょう。
「これで老後は安心だ」
しかし、その退職金を定期預金に全額預けたまま、20年後はどうなっているでしょうか。
現在の定期預金金利は0.002%程度。20年間で得られる利息は、わずか8,000円です(税引き前)。一方、年2%の物価上昇が続けば、20年後の2,000万円の実質的な購買力は約1,600万円相当になります。
つまり、”安全”だと思って銀行に預けておいたお金が、400万円分の価値を失うのです。
これが、退職金を”現金一括”で置いておくことの最大のリスク――インフレリスクです。
世界の常識は「退職金=分割で運用・取り崩す」
日本では長い間、「退職金は銀行に預ける」「老後は元本を減らさないようにする」という考え方が一般的でした。しかし、世界を見渡せば、まったく違う常識が存在します。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ諸国――多くの先進国では、退職後の資産を”運用しながら取り崩す”ことが当たり前になっています。
なぜでしょうか?
理由は明確です。寿命が延びたからです。
1960年代、平均寿命が70歳前後だった時代なら、退職金を銀行に預けて少しずつ取り崩すだけでも何とかなりました。しかし今は、男性で約82歳、女性で約88歳。さらに、90歳、95歳まで生きることも珍しくありません。
退職後30年、35年という長い期間、ただ取り崩すだけでは資産が尽きてしまう――これが、世界中の人々が直面している共通の課題なのです。

日本でも始まっている”意識の転換”
実は、日本でもこの考え方は広がり始めています。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をご存じでしょうか? 私たちの公的年金を運用している組織です。GPIFは、国内外の株式・債券に分散投資し、長期的な運用を行っています。
2023年度の運用実績は、累積収益額が約127兆円に達しています。これは、「運用しなければ得られなかった」資産です。
もしGPIFが「元本割れが怖いから定期預金だけで運用する」という方針だったら、今頃、年金制度はとっくに破綻していたでしょう。
公的年金ですら運用で増やす時代に、私たちの退職金だけを”動かさない”理由はありません。
積立と違う”取り崩し設計”の思考法
ここで重要なのは、現役時代の「積み立て」と、退職後の「取り崩し」は、まったく異なる戦略が必要だということです。
現役時代の積立投資
- 時間が味方: 20年、30年という長期で運用できる
- ドルコスト平均法: 毎月一定額を投資することで、価格変動リスクを抑える
- リスク許容度が高い: 多少の下落があっても、回復を待つ時間がある
退職後の取り崩し運用
- 収入を作る: 年金だけでは不足する生活費を補う
- 資産を長持ちさせる: 90歳、95歳まで資産が尽きないようにする
- 変動との向き合い方: 一時的な下落時には取り崩し額を調整する柔軟性が必要
多くの方が「運用=積立」しかイメージできないため、退職後も「元本を守ろう」と考えてしまいます。しかし、本当に守るべきは元本ではなく、”生活を維持できる購買力”なのです。

退職金を「10年・20年・30年」で分けて使う”3ステージ運用法”
では、具体的にどう考えればよいのでしょうか。
退職金を受け取ったら、それを一つの塊として見るのではなく、使う時期に応じて3つに分けるという発想が有効です。
ステージ1【直近10年分】65〜74歳
- 目的: 日常生活費の補填、突発的な医療費への備え
- 運用方針: 成長重視(世界株式アクティブファンドなど)
- 金額の目安: 年間不足額×10年分(例:年50万円不足なら500万円)
この部分は、すぐに使う可能性があるお金です。変動リスクを最小限に抑え、確実に確保しておきます。
ステージ2【中期10〜20年分】75〜84歳
- 目的: 後期高齢期の生活費、介護費用への備え
- 運用方針: 成長重視(世界株式アクティブファンドなど)
- 金額の目安: 年間不足額×10年分+介護予備費(例:600〜800万円)
まだ10〜20年先に使うお金なので、ある程度の運用リターンを狙いつつ、大きなリスクは取らないバランス型の運用が適しています。
ステージ3【長期20〜30年分】85歳以降
- 目的: 超高齢期の生活費、医療・介護費用、相続資金
- 運用方針: 成長重視(世界株式アクティブファンドなど)
- 金額の目安: 残りの退職金(例:800〜1,200万円)
20年以上先に使うお金は、インフレに負けない成長力が必要です。ここで世界経済の成長を取り込む運用が効いてきます。
50代の教員・公務員の皆さまへ ― 今から準備すること
まだ退職金を受け取っていない50代の方は、今から「受け取った後、どうするか」のシミュレーションを始めましょう。
- 退職金の予想額を確認する
勤務先の規程を確認し、自分の退職金がいくらになるかを把握します。 - 年金受給額を試算する
「ねんきんネット」で将来の年金額を確認しましょう。 - 生活費を見積もる
現在の生活費を基準に、退職後の支出をシミュレーションします。 - iDeCoとNISAを今から始める
公務員はiDeCoで月12,000円まで拠出可能です。60歳まで10年あれば、約167万円(年利3%想定)の追加資産を作れます。
60代で退職金を受け取った方へ ― “配置”を決める
退職金を受け取ったら、まず1〜2ヶ月はそのまま定期預金に置いておいて構いません。焦る必要はありません。
大切なのは、冷静に”配置”を決めることです。
- どのくらいを安全資産に?
- どのくらいを運用に回すか?
- 何年後にどのくらい使う予定か?
これらを整理してから、金融機関の窓口ではなく、中立的なアドバイザーに相談することをお勧めします。銀行や証券会社の窓口では、どうしても販売側の都合が優先されがちです。
既に退職された方へ ― 今からでも遅くない
「退職金はもう定期預金に入れてしまった」「もう数年経っている」という方も、決して遅くはありません。
今ある資産を見直し、一部だけでも運用に回すことで、資産寿命は大きく変わります。
例えば、預金1,500万円のうち500万円を運用に回し、年3%のリターンが得られれば、年間15万円の収益です。これは月1.25万円の追加収入に相当します。小さく見えるかもしれませんが、20年間で300万円の差が生まれます。

まとめ ― “時間”を味方につける資産設計
退職金は、”ゴール”ではありません。人生100年時代において、退職金は“新しいスタート”のための資金です。
そして、何より大切なのは時間を味方につけること。65歳で退職しても、まだ20年、25年、30年という長い時間があります。この時間を活かさない手はありません。
貯金で終わらせるのではなく、お金に働いてもらう。
元本を守るのではなく、購買力を守る。
一括で持つのではなく、時期に応じて配置する。
この考え方が、これからの老後資金設計の基本です。
次回は、「世界は”取り崩しながら運用”する ― 資産寿命を延ばす世界標準」をテーマに、さらに具体的な運用手法をお伝えします。
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