【第2話】企業型DCの「落とし穴」〜会社任せで損している人たち〜

新シリーズ:「人生100年時代の“お金と幸せ”設計」

「元本確保型100%」という罠

前回登場した後藤さん。

彼が私のオフィスに来た時、まず最初に確認したのが**企業型DC(企業型確定拠出年金)**でした。

「後藤さん、会社で確定拠出年金、やってますよね?」

「あ、はい。給料明細に書いてあります。でも、正直よく分かってなくて…」

彼が持ってきた書類を見て、私は絶句しました。

運用商品:定期預金 100% 年間運用利回り:0.001% 積立期間:8年 残高:約240万円

「後藤さん、これ…もったいないことしてますよ」

8年間で失った「機会損失」

私は電卓を叩きながら、説明しました。

「もし後藤さんが、定期預金じゃなくて**優良なアクティブファンド(年利8%想定)**で運用していたら…」

試算結果:

  • 定期預金(0.001%):約240万円
  • 優良アクティブ(8%):約310万円
  • 差額:約70万円

「え…70万円も違うんですか!?」

「はい。しかもこれは過去の話。これから定年まであと17年、同じ運用を続けたらどうなるか…」

60歳時点の試算:

  • 定期預金:約720万円
  • 優良アクティブ:約1,250万円
  • 差額:約530万円

後藤さんは、青ざめました。

「何もしないだけで、500万円以上も損するんですか…」

なぜ、みんな「定期預金」を選んでしまうのか

実は、後藤さんのような人は非常に多いです。

厚生労働省の統計によると、企業型DC加入者の約3割が元本確保型商品のみで運用しています。

理由は明確です。

  1. 会社から説明がほとんどない
  2. 「元本保証」という言葉に安心する
  3. 何を選べばいいか分からない
  4. 投資=怖いという思い込み

特に40代以上の世代は、「投資=ギャンブル」と教えられてきた世代。

「損したくない」という気持ちが強く、結果として**”一番安全そうな選択肢”**を選んでしまいます。

でも、これには大きな落とし穴があります。

インフレという「見えない損失」

「でも先生、元本保証なら損はしませんよね?」

後藤さんの質問に、私は首を横に振りました。

「いいえ。実は**”損”してます**」

「え?だって、減ってないですよ?」

「金額は減ってないかもしれません。でも、お金の価値は減ってます

私は身近な例で説明しました。

「10年前、牛丼一杯はいくらでしたか?」

「確か…280円くらい?」

「今は400円です。つまり、同じ1万円でも、買えるものが減ってるんです。これがインフレ」

インフレ率2%が続いた場合:

  • 現在の100万円の価値
  • 10年後:約82万円相当
  • 20年後:約67万円相当

「定期預金で0.001%増やしても、インフレで2%減る。つまり、**実質マイナス約2%**なんです」

後藤さんは、ようやく理解しました。

「”何もしない”ことが、実は一番のリスクだったんですね…」

マッチング拠出の「魔法」

もう一つ、後藤さんが知らなかったのがマッチング拠出でした。

「マッチング拠出って何ですか?」

「簡単に言えば、会社が出してくれるお金に、自分も上乗せできる制度です」

後藤さんの会社の制度を確認すると:

  • 会社拠出:月2万円
  • マッチング拠出可能額:月2万円まで(会社拠出と同額まで)

「もし後藤さんが月2万円を上乗せすると…」

試算(17年間、年利8%で運用):

  • 追加積立:月2万円 × 12ヶ月 × 17年 = 408万円
  • 60歳時の評価額:約720万円
  • 増加分:約312万円

「しかも、この月2万円は全額所得控除です」

所得税・住民税の軽減効果(年収520万円の場合):

  • 年間24万円の所得控除
  • 税金軽減額:年間約4.8万円
  • 17年間:約82万円

「つまり、実質負担は約326万円で、720万円になる。差し引き約394万円の利益です」

後藤さんは目を丸くしました。

「なんで誰も教えてくれなかったんですか…」

転職時の「DC移管ミス」で起こる悲劇

企業型DCで、もう一つ注意すべきなのが転職時の手続きです。

私の相談者の中に、こんな方がいました。

Aさん(48歳・男性)の事例:

  • 40歳で転職
  • 前の会社の企業型DC(約300万円)を放置
  • 8年後、自動移換されていることが判明
  • 手数料:月51円 × 96ヶ月 = 約5万円
  • 運用益:ゼロ(現金のまま放置)

「知らない間に、毎月手数料だけ引かれてたんです…」

Aさんは肩を落としました。

転職時には、必ず6ヶ月以内にDCの移管手続きをする必要があります。

放置すると:

  1. 自動移換される(国民年金基金連合会へ)
  2. 毎月手数料が引かれる
  3. 運用できない(現金のまま)
  4. 受取時期が遅れる可能性

今すぐチェックすべき3つのポイント

企業型DCで損をしないために、今すぐ確認してください。

チェック1:運用商品を確認する → 定期預金100%になっていませんか?

チェック2:マッチング拠出を確認する → 制度があるのに使っていませんか?

チェック3:転職時の手続きを確認する → 前職のDC、放置していませんか?

後藤さんのその後

後藤さんは、その日のうちに運用商品を変更しました。

  • 定期預金100% → 後述する優良アクティブファンド
  • マッチング拠出:月2万円スタート

そして、10年後。

企業型DCだけで約720万円まで成長しました。

「あの時、先生に会わなければ、今でも定期預金のままだったと思います」

後藤さんは笑いながら言いました。

知らないことが、一番のリスクだったんですね」

あなたのDCは大丈夫?

もし、この記事を読んで「自分も定期預金100%だ…」と思った方。

今日、今すぐ確認してください。

  • 会社の担当部署に電話する
  • DCの運用サイトにログインする
  • 商品内容を確認する

たった10分の行動が、将来の数百万円を生み出します。

次回、第3話では、後藤さんが次に手をつけたiDeCoについて詳しくお話しします。

実は、iDeCoは**「やるべき人」と「やらない方がいい人」**がいるんです。


〜次回予告〜 【第3話】iDeCoは「やるべき人」と「やらない方がいい人」がいる

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■昭和42年2月13日生 ■出身:群馬県伊勢崎市 ■住まい:群馬県高崎市 ■趣味:Audi A5でのドライブ・映画鑑賞・都市伝説・クレー射撃・狩猟 ■保有資格 ・証券外務員一種 ・投資診断士 ・相続診断士 ・二級ファイナンシャルプランニング技能士 ・AFP(日本ファイナンシャル・プランナー協会) ・福祉住環境コーディネーター