
「給料を減らして手取りを増やす」魔法
「社長、給料を減らしてもらえませんか?」
建設業B社(従業員35名)の営業部長、田村さん(42歳)がそう言ったとき、社長の驚いた顔を、経理の山田さんは今でも覚えています。
しかし、3ヶ月後のことでした。
田村さんの給与は月3万円減ったにも関わらず、手取り額は逆に月15,000円増えていました。
そして、何より驚くべきことに、彼の老後資金は年間36万円ずつ積み上がっているのです。
これは魔法でも詐欺でもありません。
選択制DCという、合法的で画期的な仕組みなのです。
2つの道:マッチング拠出 vs 選択制DC
企業型DCを導入するとき、経営者が最初に直面する重要な選択があります。
マッチング拠出型 と 選択制DC。
どちらを選ぶかで、会社の負担も社員のメリットも大きく変わってきます。
マッチング拠出型とは?
簡単に言えば、「会社がベース分を出し、社員が上乗せできる仕組み」です。
【仕組み】
- 会社:毎月1万円を拠出
- 社員:希望により追加で最大1万円を上乗せ可能
- 社員の拠出分は給与からの天引き(税制優遇あり)
【会社の負担】
- 全社員分のベース拠出(月1万円×35名=35万円)
- システム管理費(月3万円程度)
- 月間コスト:約38万円
選択制DCとは?
「給与の一部を拠出に振り替える仕組み」です。
【仕組み】
- 社員:月給30万円 → 月給27万円+DC拠出3万円に変更
- 社員の選択で拠出額を決められる(0円〜上限額まで)
- 給与として受け取るか、DCに拠出するかを選択
【会社の負担】
- ベース拠出なし(社員の選択次第)
- システム管理費(月3万円程度)
- 月間コスト:約3万円

月5,000円で社員のモチベーションが劇的に変わったB社の奇跡
B社の佐藤社長が選択制DCを導入したのは、正直なところ「コストを抑えたい」という理由からでした。
「マッチング拠出だと月40万円近い負担になる。うちにはちょっと厳しい…」
しかし、導入から1年後、彼は自分の判断が正しかったことを確信しました。
予想外だった社員の反応
35名中28名が制度に加入(加入率80%)
最初は「どうせみんな面倒くさがって加入しないだろう」と思っていました。ところが、蓋を開けてみると8割の社員が加入してくれたのです。
加入した理由を聞いて驚いた
「給料は下がるけど、手取りが増えるなんて信じられませんでした。でも、実際に計算してもらったら本当だった」(営業・田村さん)
「税金と社会保険料が安くなって、しかも老後資金まで貯まる。やらない理由がない」(事務・佐藤さん)
「会社がこんな制度を作ってくれて、本当にありがたい」(現場監督・鈴木さん)
数字で見る驚異的な節税効果
具体的に、田村さんのケースで計算してみましょう。
Before(選択制DC導入前)
- 月給:30万円
- 所得税:約8,000円
- 住民税:約15,000円
- 社会保険料:約45,000円
- 手取り:約232,000円
After(選択制DC導入後)
- 月給:27万円(3万円をDC拠出)
- 所得税:約6,000円(-2,000円)
- 住民税:約12,000円(-3,000円)
- 社会保険料:約40,500円(-4,500円)
- DC拠出:30,000円(全額所得控除)
- 手取り:約211,500円
一見すると手取りが減っているように見えますが、実際は:
実質手取り:211,500円 + DC積立30,000円 = 241,500円相当
つまり、月9,500円のプラスになっているのです。
企業規模別の最適解
従業員数10名未満:選択制DCがベスト
理由:
- 会社負担を最小限に抑えられる
- 社員の自由度が高い
- 管理コストが削減できる
従業員数10〜50名:選択制DCまたは少額マッチング
理由:
- コストバランスが重要
- 社員のニーズが多様
- 段階的導入が可能
従業員数50名以上:マッチング拠出も検討価値あり
理由:
- 会社負担力がある
- 福利厚生としてのインパクトが大きい
- 採用ブランディング効果が高い

会社にとっての「隠れたメリット」
選択制DCには、経営者にとって見落としがちな大きなメリットがあります。
1. 社会保険料の適正化
社員がDCに拠出した分、標準報酬月額が下がります。つまり:
会社負担の社会保険料も同時に削減される
田村さんの例では:
- 社員分削減:4,500円/月
- 会社分削減:4,500円/月
- 年間54,000円のコスト削減
35名全員が月2万円拠出した場合: 年間約120万円の社会保険料削減効果
2. 退職金制度の代替効果
従来の退職金制度と比較して:
退職金制度:
- 会社の債務として計上
- 退職時期の予測が困難
- 運用責任は会社
企業型DC:
- 拠出時に費用処理完了
- 将来債務なし
- 運用責任は社員
導入時の注意点とリスク管理
社員への説明が最重要
「給料を減らす制度」と誤解されないよう、丁寧な説明が必要です。
成功事例:C社の説明方法
- 個別シミュレーションの提示
- 選択の自由を強調
- 税制メリットを具体的に説明
- Q&Aセッションを複数回実施
管理体制の構築
選択制DCでは、給与計算が複雑になります:
- 拠出額変更の管理
- 税務処理の変更
- 社会保険手続きの変更
解決策: 信頼できるDC運営管理機関の選定が重要です。
経営者ひとりでも始められる

「うちはまだ社長ひとりだけど…」
実は、企業型DCは従業員数に関係なく導入できます。
1人社長の場合:
- 役員報酬の一部をDC拠出に回す
- 年間最大66万円の拠出が可能
- 所得税・住民税・社会保険料の大幅削減
- iDeCoとの併用も可能(条件あり)
最適な制度設計のチェックリスト
あなたの会社に最適な制度を選ぶための簡単なチェックリストをご紹介します:
コスト重視派 → 選択制DC
- 月間コスト3〜5万円程度に抑えたい
- 社員の自主性を尊重したい
- 段階的に制度を拡充したい
福利厚生重視派 → マッチング拠出
- 採用ブランディングを強化したい
- 会社として社員の老後を支援したい
- 月10〜50万円程度の投資は可能
ハイブリッド派 → 段階的導入
- まず選択制DCで始める
- 軌道に乗ったらマッチングを追加
- 社員の反応を見て判断したい
最後に:決断の時
制度選択で迷うことは当然です。しかし、大切なことは完璧を求めることではありません。
「まず始めること」
そして、「社員と共に成長していくこと」
選択制DCでもマッチング拠出でも、社員の将来を想う経営者の気持ちに変わりはないのです。
次回は、「iDeCoと企業型DCの違い」について、経営者の視点から詳しく解説します。
実は、多くの経営者が見落としている重要なポイントがあります。それを知ることで、あなたの決断がより確信に満ちたものになるでしょう。
【次回予告】 「社長ひとりでも年間66万円の節税ができる理由」「なぜiDeCoより企業型DCが圧倒的に有利なのか?」「手数料の罠を避ける方法」について、具体的な数字とともにお伝えします。そして、ある1人社長が企業型DCで手にした「想像以上の効果」についても詳しく解説します。
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