教員・公務員のための「人生100年・資産寿命を延ばす10話シリーズ

アメリカの退職者が実践する”当たり前”
カリフォルニア州に住む元教師のサラさん(68歳)。彼女は退職金と年金を合わせた資産を、毎月一定額ずつ取り崩しながら生活しています。しかし、彼女の資産は減り続けているわけではありません。
なぜなら、取り崩しながらも、残りの資産は運用を続けているからです。
アメリカでは、401(k)やIRAといった退職金制度があり、退職後も運用を続けながら必要な分だけを引き出すのが一般的です。元本をそのまま保有するのではなく、“資産を働かせながら生活費を得る”という発想が根付いています。
この考え方は、カナダ、オーストラリア、イギリス、ドイツなど、多くの先進国で共通しています。
では、なぜ日本ではそうならなかったのでしょうか?
日本で「運用しながら取り崩す」が広まらなかった理由
日本で退職金を「全額定期預金」にする文化が定着したのには、歴史的な背景があります。
- 高金利時代の名残
1980〜90年代、定期預金の金利は5〜6%もありました。1,000万円を預ければ年50〜60万円の利息。これなら、確かに「預けておくだけで安心」でした。 - 終身雇用と年功序列
「会社が面倒を見てくれる」という安心感。企業年金も手厚く、退職金だけで老後を乗り切れる時代がありました。 - 平均寿命が短かった
1980年代の平均寿命は男性75歳、女性81歳。退職後10〜15年を過ごすだけなら、資産を運用する必要性は低かったのです。
しかし、今は違います。
金利はほぼゼロ。企業年金は縮小。そして、人生100年時代。
かつての常識は、もはや通用しません。

「4%ルール」とは何か ― なぜ日本では誤解されているのか
世界の退職者の間で広く知られている「4%ルール」をご存じでしょうか。
これは、退職時の資産を、毎年4%ずつ取り崩しても、30年間は資産が尽きない可能性が高いという、過去のデータに基づく経験則です。
例えば、退職時に3,000万円の資産があれば、初年度に120万円(年間)を取り崩します。翌年も資産残高の4%を取り崩し、インフレ調整しながら続けます。
この研究は、アメリカの株式・債券市場の過去のデータをもとにしていますが、日本でも応用可能な考え方です。
なぜ日本で誤解されているのか
日本では、「4%ルール=毎年必ず4%の利益が出る魔法の方法」と誤解されることがあります。しかし、4%ルールは”保証”ではなく、運用と取り崩しのバランスを示す”目安”です。
大切なのは:
- 運用を続けながら取り崩すこと
- 市場が下落した年でも、取り崩し額を自動調整される定率取崩しをすること
- 優秀なファンドマネージャーがいる、世界株式アクティブファンドにて運用すること
元本を守ろうとするのではなく、”収入をつくる”という発想に転換することが、この考え方の核心です。
元本を守るより、”収入をつくる”という発想
多くの日本人は、こう考えます。
「元本2,000万円は絶対に減らしたくない。利息や配当だけで生活したい」
しかし、現実はどうでしょう。
- 定期預金金利0.002% → 2,000万円で年4,000円
- 国債利回り0.5% → 2,000万円で年10万円(税引き前)
これでは、とても生活費を補えません。
一方、発想を変えてみましょう。
「2,000万円を運用しながら、毎年80万円(4%)ずつ取り崩す。運用利回りが年平均3%なら、実質的な減少率は年1%。30年後も約1,500万円が残る」
どちらが賢明でしょうか?
大切なのは、”元本の数字”ではなく、”生活を維持できる資金”があるかどうかです。

実例:退職金2,000万円を30年間で活かす方法
具体的なシミュレーションを見てみましょう。
パターンA:全額定期預金(金利0.002%)
- 初期資産:2,000万円
- 毎年の取り崩し:80万円
- 30年後の残高:560万円
運用しないため、ただ減り続けます。インフレを考慮すれば、実質的な価値はさらに低下します。
パターンB:運用しながら取り崩し(年利3%)
- 初期資産:2,000万円
- 毎年の取り崩し:80万円(初年度4%)
- 30年後の残高:約1,600万円
運用益が取り崩しの一部をカバーするため、資産の減少ペースが大幅に緩やかになります。
差額:1,040万円
これは、「運用するかしないか」の違いがもたらす結果です。
「守る運用」ではなく、「活かす運用」で老後をデザインする
ここまで読んで、「でも、運用して損をしたらどうするの?」と思われる方もいるでしょう。
確かに、運用にはリスクがあります。株式市場は上下します。しかし、リスクを取らないことが最大のリスクになる時代だということを、ぜひ理解してください。
「守る運用」の落とし穴
- インフレで実質的な価値が目減りする
- 医療費・介護費用の上昇に対応できない
- 想定より長生きした場合、資産が尽きる
「活かす運用」の強み
- インフレに対応できる成長力
- 資産寿命を延ばすことができる
- 取り崩しながらも、資産を次世代に残せる可能性
運用は”ギャンブル”ではありません。適切な知識と戦略があれば、”合理的なリスク管理”です。
50代の教員・公務員へ ― 今から”世界標準”を学ぶ
まだ退職前の50代の方は、今が絶好のチャンスです。
- iDeCoとNISAで運用の経験を積む
少額からでも運用を始め、市場の動きに慣れておきましょう。公務員はiDeCoで月12,000円まで拠出できます。 - 世界株式アクティブファンドを知る
日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、新興国を含む世界全体に投資するファンド。これが「世界経済の成長を取り込む」基本戦略です。 - 取り崩しシミュレーションをしてみる
退職金をどのように配置し、いつから、いくら取り崩すか。シミュレーションツールを使って計画を立ててみましょう。
60代で退職金を受け取った方へ ― 今すぐ配分を見直す
既に退職金を受け取られた方も、今からでも遅くありません。
全額を定期預金にしている方は、そのうち30〜50%を運用に回すことを検討してください。
例:退職金2,000万円の場合
- 安全資産(定期預金・普通預金):300〜600万円
- 運用資産(投資信託など):1,700〜1,400万円
運用資産は、さらに分散します:
- 成長型(世界株式ファンド):50%
- アクティブ型(運用哲学重視ファンド):50%
既に退職されて数年経つ方へ ― 今こそ”配置転換”を
「退職してもう5年、10年経っている。資産も減ってきた」という方。
今からでも、運用に切り替えることで、資産寿命を延ばすことができます。
残りの資産が1,000万円でも、そのうち500〜700万円を運用に回せば、10年、15年後の資産残高は大きく変わります。
大切なのは、「もう遅い」と諦めないことです。

まとめ ― 世界標準の発想を取り入れる
「運用しながら取り崩す」という世界標準の考え方は、決して特別なものではありません。むしろ、長寿化時代において、最も合理的な資産管理法です。
日本でも、少しずつこの考え方が広まりつつあります。公的年金を運用するGPIF、企業の確定拠出年金制度、そして個人のiDeCoやNISA――これらはすべて、「運用で資産を増やす」という発想に基づいています。
私たちの退職金も、同じように”活かす”べきです。
次回は、「iDeCo・NISA・共済年金 ― 教員にとっての最適な”組み合わせ”」をテーマに、具体的な制度活用法をお伝えします。
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