第10話(最終回)「人生100年時代、”お金のゴール”を決めよう」

教員・公務員のための「人生100年・資産寿命を延ばす10話シリーズ

「どれだけ残すか」ではなく「どう使い切るか」

9回にわたり、老後資金の設計についてお伝えしてきました。

最終回となる今回は、最も大切な問いかけをします。

「あなたは、なぜお金を貯めるのですか?」

多くの方は、こう答えるでしょう。

「老後が不安だから」
「子どもに迷惑をかけたくないから」
「何かあったときのために」

確かに、備えることは大切です。しかし、“備える”ことが目的になってはいけません

お金は、“使うため”に存在します。

人生の最後に、通帳に1,000万円、2,000万円が残っていたとして、それが何の意味を持つでしょうか。

「もっと旅行に行けばよかった」 「もっと孫に会いに行けばよかった」 「もっと好きなことをすればよかった」

そんな後悔を抱えたまま、この世を去るのは、あまりにももったいないことです。

お金の使い方=生き方

お金は、”道具”です。そして、道具の価値は、”使い方”で決まります

高級な包丁を買っても、使わなければ意味がありません。使ってこそ、料理が上手になり、家族が喜び、人生が豊かになります。

お金も同じです。使い方次第で、人生の質が変わります。

お金の使い方には3つある

1. 自分のために使う

  • 旅行、趣味、学び、健康維持
  • 「やりたいこと」を実現する

2. 大切な人のために使う

  • 家族、孫、友人への贈り物
  • 困っている人への支援
  • 「喜ばれること」を実現する

3. 社会のために使う

  • 寄付、ボランティア、地域貢献
  • 次世代のための投資
  • 「意味のあること」を実現する

どの使い方も、あなたの人生を豊かにします。

人に喜ばれる使い方、自己実現に繋がる支出こそが最上の投資

投資信託で運用すれば、年3〜5%のリターンが得られるかもしれません。しかし、それが”最高の投資”でしょうか?

いいえ、違います。

最高の投資とは、”人生を豊かにする投資”です。

実例:Aさん(元教員、70歳)の場合

Aさんは、退職金2,000万円を受け取り、そのうち1,500万円を運用に回しました。残りの500万円は、こう使いました:

  • 孫の教育費:100万円(大学進学の支援)
  • 夫婦で世界一周旅行:200万円(長年の夢を実現)
  • 地域の子ども食堂への寄付:50万円(教員として恩返し)
  • 自分の健康維持(ジム・サプリ):年間30万円×5年=150万円

Aさんはこう言います。

「孫が喜ぶ姿を見られた。世界一周で妻との絆が深まった。地域の子どもたちの笑顔を見られた。健康でいられることに感謝できた。お金を使って、こんなに幸せになれるとは思わなかった」

これが、”最上の投資”です。

実例:Bさん(元公務員、68歳)の場合

Bさんは、退職金の一部で、趣味のカメラを始めました。高級なカメラとレンズを購入し、毎月、撮影旅行に出かけています。

「現役時代は仕事に追われて、趣味なんて持てなかった。でも今は、毎日がワクワクする。写真仲間もできた。人生がこんなに楽しくなるなんて」

Bさんの写真は地域の写真展で入賞し、地元の新聞にも掲載されました。今では、地域の写真教室で講師もしています。

お金を使って、新しい人生が始まったのです。

“資産を活かして生きる”という新しい老後の形へ

これまで9回にわたり、資産を”守る”方法、”増やす”方法、”取り崩す”方法をお伝えしてきました。

しかし、最も大切なのは、資産を”活かす”ことです。

資産を活かすとは?

1. 安心を得るために使う

  • 医療・介護への備え
  • 生活費の不足を補う
  • 突発的な出費に対応する

2. 人生を楽しむために使う

  • 旅行、趣味、学び
  • 家族との時間を豊かにする
  • 新しい挑戦をする

3. 誰かのために使う

  • 子ども・孫への支援
  • 社会貢献、寄付
  • 次世代のために残す

この3つのバランスを取ることが、”活かす”ということです。

50代の教員・公務員へ ― 今から”お金のゴール”を描く

50代の方は、まだ退職前です。だからこそ、今から”お金のゴール”を描きましょう

自分に問いかけてみてください

  • 退職後、何をしたいですか?
  • 旅行? 趣味? ボランティア? 学び?
  • 誰と、どんな時間を過ごしたいですか?
  • 配偶者? 子ども? 孫? 友人?
  • 社会に、どんな貢献をしたいですか?
  • 地域活動? 寄付? 後進の育成?

これらの答えが、あなたの”お金のゴール”です。

そのゴールを実現するために、今から資産を準備する。それが、本当の意味での資産設計です。

50代がすべきこと

  1. 夢リストを作る
    退職後にやりたいことを20個書き出してみましょう。小さなことから大きなことまで。
  2. それぞれに必要な金額を見積もる
  • 国内旅行:1回20万円×年2回×20年=800万円
  • 趣味の道具購入:50万円
  • 孫の大学入学祝い:50万円×2人=100万円
  1. 総額を計算する
    すべてを合計すると、「自由に使えるお金」として必要な金額がわかります。
  2. 資産設計に反映する
    生活費・医療費とは別に、「夢の実現資金」を確保する計画を立てます。

60代で退職を迎えた方へ ― 今こそ”使い方”を考える

退職金を受け取り、年金受給も始まった60代の方。

今こそ、”どう使うか”を考える時です。

3つのステップ

ステップ1:安心の土台を確保する

  • 生活費10年分(または必要額)を安全資産で確保
  • 医療・介護の予備費を確保

ステップ2:やりたいことリストを作る

  • 夫婦で話し合い、「やりたいこと」を書き出す
  • それぞれにいくら必要かを見積もる

ステップ3:実行する

  • 優先順位の高いものから、実行に移す
  • 「いつか」ではなく、「今」始める

人生は有限です。”いつか”は来ないかもしれません。

60代の行動例

Cさん夫婦(65歳)の場合

退職金2,000万円を次のように配分しました:

  • 安心資金(15年分):1,200万円
  • 安全資産800万円+運用資産400万円
  • 夢実現資金:500万円
  • 北海道・沖縄旅行:150万円
  • 孫の教育支援:150万円
  • 趣味(ゴルフ・陶芸):100万円
  • 自宅リフォーム:100万円
  • 予備費:300万円
  • 医療・介護の備え

「安心資金があるから、夢実現資金を思い切って使える。このメリハリが大切だとわかった」とCさん。

配分を決めることで、安心して使えるようになります。

既に退職されて数年経つ方へ ― 今からでも遅くない

「もう70歳を過ぎてしまった。今さら何かを始めるのは…」

そんなことはありません。人生は、最後まで豊かにできます。

70代、80代でもできること

  • 小さな旅行:近場の温泉、美術館、名所巡り
  • 新しい趣味:絵画、俳句、園芸、ボランティア
  • 家族との時間:孫と過ごす、昔話を語る、写真を整理する
  • 感謝を伝える:お世話になった人に手紙を書く、寄付をする

お金を使う機会は、まだまだあります。

実例:Dさん(元教員、75歳)

Dさんは70歳のとき、「もう遅い」と思っていました。しかし、友人に誘われて地域のボランティア活動に参加。子どもたちに勉強を教える活動を始めました。

「教員時代の経験が活きている。子どもたちの笑顔を見ると、まだ自分にできることがあると実感する。お金は少ししか使わないけれど、人生がこんなに充実するとは」

お金を使わなくても、豊かな時間は作れます。そして、少しのお金があれば、さらに豊かになります。

相続について ― “残すこと”も、一つの選択

ここまで「使い切る」ことの大切さをお伝えしてきましたが、“残すこと”も、立派な選択です。

ただし、大切なのは、“なぜ残すのか”を明確にすることです。

相続の2つのパターン

パターン1:偶然の相続

  • 使い切れずに残った
  • 子どもに渡すつもりはなかったが、結果的に残った

パターン2:意図的な相続

  • 子どもの住宅購入資金として残す
  • 孫の教育資金として残す
  • 社会貢献のために寄付する

どちらも間違いではありません。ただ、後者の方が、”意味のある相続”です。

意図的な相続の例

Eさん(元公務員、82歳)の場合

Eさんは、資産を3つに分けました:

  1. 自分たちの生活資金:1,000万円(90歳まで)
  2. 子どもへの相続:500万円(住宅ローン返済支援)
  3. 孫への教育資金:300万円(大学資金)

そして、生前に子どもと孫に伝えました。

「この資金は、あなたたちの将来のために残す。有効に使ってほしい」

生前に伝えることで、受け取る側も感謝の気持ちを持て、家族の絆が深まります。

遺言書の作成

意図的に相続するなら、遺言書を作成することをお勧めします。

  • 公正証書遺言(公証役場で作成、確実)
  • 自筆証書遺言(自分で書く、費用不要)

「誰に、何を、どのように渡すか」を明記することで、相続争いを防げます。

人生100年時代の”お金のゴール”とは

最後に、改めて問います。

「あなたのお金のゴールは何ですか?」

  • 90歳まで資産を残すこと?
  • 子どもに1,000万円を残すこと?
  • 安心して生活すること?
  • やりたいことを実現すること?

どれも正解です。大切なのは、あなた自身が納得できるゴールを設定することです。

理想的なゴール設定

1. 安心の土台を確保する

  • 生活費、医療費、介護費用を賄える資産を確保

2. やりたいことを実現する

  • 旅行、趣味、学びに使う資金を確保

3. 誰かのために使う

  • 家族、社会への貢献に使う資金を確保

4. 残すなら意図的に

  • 相続するなら、目的を明確にする

このバランスが、あなたの”お金のゴール”です。

ゴール設定のワークシート

以下の質問に答えてみてください。

Q1. 90歳時点で、いくら残っていれば安心ですか?

  • 答え:_万円

Q2. 今後10年間で、絶対にやりたいことは何ですか?(3つ)

  • 1:___
  • 2:___
  • 3:___

Q3. それぞれにいくら必要ですか?

  • 1:_万円
  • 2:_万円
  • 3:_万円

Q4. 誰かのために使いたいお金はありますか?

  • 誰に:___
  • 何のために:___
  • いくら:_万円

Q5. 相続で残したい金額はありますか?

  • 答え:_万円(または残さない)

このワークシートを埋めることで、あなたの”お金のゴール”が明確になります。

まとめ ― お金は”道具”、人生は”作品”

教員・公務員として長年働いてこられた皆さま。

あなたは、たくさんの子どもたちの人生を支えてきました

そして今度は、あなた自身の人生を豊かにする番です。

お金は、”道具”です。そして、あなたの人生は、”作品”です。

道具を使いこなして、最高の作品を作り上げてください。

この連載を通じてお伝えしたかったこと

  1. 老後資金は、”守る”だけでなく、”増やす”ことも必要
  2. 運用は怖くない、知識があれば安心してできる
  3. 取り崩し方を工夫すれば、資産寿命は延びる
  4. 分散投資で、リスクを抑えられる
  5. 金融リテラシーこそ、最大の年金
  6. お金は”使うため”にある

人生100年時代、”お金のゴール”を決めて、豊かに生きましょう。

最後のメッセージ

人生の終わりに、こう言えたら最高です。

「やりたいことは、ほとんどできた」
「大切な人に、喜んでもらえた」
「社会に、少しは貢献できた」
「お金を、有意義に使えた」

そして何より、「いい人生だった」と笑顔で言えること。

それが、お金のゴールです。


一人で悩まず、相談してください

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

しかし、読むだけでは不安は消えません。行動することで、初めて不安は安心に変わります。

  • 自分の場合、どうすればいいのか?
  • 退職金をどう配分すればいいのか?
  • 年金はいつから受け取るべきか?
  • iDeCoとNISAをどう活用すればいいのか?
  • やりたいことを実現するには、いくら必要か?

これらの答えは、お一人おひとり異なります

だからこそ、専門家に相談してください。

一人で悩まず、経験豊富なファイナンシャル・プランナーと一緒に、あなたの”お金のゴール”を見つけましょう。

あなたの人生100年時代を、全力でサポートいたします。


【個別相談のご案内】
この連載を読んで、「自分の場合はどうなるのか?」と思われた方。
まずは無料相談で、あなたの不安を解消しましょう。

ご提供するサービス:

  • 90歳までのキャッシュフローシミュレーション作成
  • 最適な資産配分のご提案
  • 年金・税金・社会保険の受け取り戦略
  • iDeCo・NISAの活用法
  • 退職金の運用プラン
  • “お金のゴール”設定サポート

お一人おひとりの状況に合わせて、丁寧にご説明いたします。

人生100年時代、”お金のゴール”を一緒に見つけましょう。


あとがき

教員・公務員の皆さまは、長年にわたり、社会のために尽くしてこられました。

子どもたちの成長を支え、社会インフラを支え、地域を支えてきた皆さまです。

だからこそ、これからの人生は、ご自身のために生きてください

お金は、そのための道具です。

使うことを恐れないでください。
知識を身につけて、賢く運用してください。
そして、豊かに、楽しく、笑顔で過ごしてください。

あなたの人生100年時代が、喜びに満ちたものになりますように。

心から応援しています。


教員・公務員のための「人生100年・資産寿命を延ばす10話シリーズ」、完

あなたの老後が、豊かで安心に満ちたものになりますように。

次のブログへ  TOPページへ


🎁 特別プレゼント企画のご案内 🎁

あなたの会社の退職金制度、本当にこのままで大丈夫ですか?

従業員の定着率向上、採用力強化、そして節税効果まで。企業型確定拠出年金が注目される理由がここにあります。

「うちの会社でも導入できるの?」 「具体的にどんなメリットがあるの?」 「導入コストや手続きはどうなの?」

そんな疑問をお持ちの経営者・人事担当者様に朗報です!

📚 限定20冊!書籍プレゼント企画 📚

個別面談にお申込みいただいた方に、話題の書籍『頭のいい会社はなぜ企業型確定拠出年金をはじめているのか』(岩崎陽介著)を無料でプレゼントいたします。

✅ 他社の成功事例が知りたい
✅ 導入時の注意点を事前に把握したい
✅ 従業員にどう説明すればよいか悩んでいる
✅ 本格検討前にプロの意見を聞きたい

面談は完全無料・オンライン対応可能です。
お忙しい中でも、あなたの会社に最適な提案をさせていただきます。

先着20社限定のため、お早めにお申し込みください。

👇 今すぐ個別面談を申し込む 👇

※リンク先のフォームに会社情報をご入力後、STORESページで面談日程をご予約ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

■昭和42年2月13日生 ■出身:群馬県伊勢崎市 ■住まい:群馬県高崎市 ■趣味:Audi A5でのドライブ・映画鑑賞・都市伝説・クレー射撃・狩猟 ■保有資格 ・証券外務員一種 ・投資診断士 ・相続診断士 ・二級ファイナンシャルプランニング技能士 ・AFP(日本ファイナンシャル・プランナー協会) ・福祉住環境コーディネーター