【第4話】iDeCoと企業型DCの違い 〜なぜ1人社長でも企業型DCを選ぶべきなのか?〜

その1通のメールが、すべてを変えた

税理士の高橋先生から届いたメールを読んだとき、IT企業の代表取締役・森田さん(38歳、従業員1名)は目を疑いました。

「森田さん、企業型DCの導入をお勧めします。iDeCoと比べて、年間で約15万円の差が生まれます」

森田さんはこれまで、個人型確定拠出年金(iDeCo)で毎月68,000円を拠出していました。「1人会社だから、企業型DCは関係ない」と思い込んでいたのです。

しかし、実際に試算してもらった結果は衝撃的でした。

iDeCo:年間節税効果 約24万円 企業型DC:年間節税効果 約39万円

なんと、年間15万円もの差があったのです。

なぜこれほどの差が生まれるのか?

多くの経営者が知らない、iDeCoと企業型DCの「決定的な違い」があります。

拠出上限額の違い

iDeCo(第1号被保険者・自営業者等)

  • 年間拠出上限:816,000円(月68,000円)
  • 国民年金基金との合算上限

企業型DC(厚生年金加入者)

  • 年間拠出上限:660,000円(月55,000円)
  • 他制度併用の場合は制限あり

「あれ?iDeCoの方が上限が高いじゃないか」

そう思われるかもしれません。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

社会保険料の違いが生む「逆転現象」

iDeCoの場合:

  • 所得税・住民税は軽減される
  • 社会保険料(厚生年金・健康保険)は軽減されない

企業型DCの場合:

  • 所得税・住民税が軽減される
  • 社会保険料も同時に軽減される

この違いこそが、圧倒的な節税効果の差を生む秘密なのです。

森田さんの具体的な比較

年収1,000万円の森田さんのケースで、詳しく見てみましょう。

iDeCo(月68,000円拠出)の場合

節税効果:

  • 所得税軽減:約204,000円/年
  • 住民税軽減:約81,600円/年
  • 社会保険料軽減:0円
  • 合計節税効果:約286,000円/年

企業型DC(月55,000円拠出)の場合

節税効果:

  • 所得税軽減:約165,000円/年
  • 住民税軽減:約66,000円/年
  • 社会保険料軽減(本人分):約99,000円/年
  • 社会保険料軽減(会社分):約99,000円/年
  • 合計節税効果:約429,000円/年

拠出額は企業型DCの方が少ないにも関わらず、年間約14万円も節税効果が高いのです。

手数料の「見えない負担」

iDeCoの手数料構造

加入時:

  • 国民年金基金連合会:2,829円

運用期間中(毎月):

  • 国民年金基金連合会:105円
  • 信託銀行:66円
  • 運営管理機関:0〜500円程度
  • 月額合計:171〜671円

年間手数料:約2,052〜8,052円

企業型DCの手数料構造

運用期間中(毎月):

  • 信託銀行:約300円
  • 運営管理機関:約1,500〜3,000円
  • 月額合計:約1,800〜3,300円

年間手数料:約21,600〜39,600円

「企業型DCの方が手数料が高いじゃないか!」

その通りです。しかし、ここにも重要なポイントがあります。

手数料を差し引いても圧倒的にお得

iDeCo: 節税効果286,000円 – 手数料8,000円 = 278,000円の実質メリット

企業型DC: 節税効果429,000円 – 手数料40,000円 = 389,000円の実質メリット

差額:年間約11万円の差

手数料を考慮しても、企業型DCが圧倒的に有利なのです。

経営者だからこそ得られる「隠れたメリット」

1. 役員報酬の最適化

企業型DCを活用することで、役員報酬を戦略的に設計できます。

Before: 役員報酬 月100万円(年1,200万円)

After: 役員報酬 月95万円 + DC拠出 月5万円 (年1,140万円 + DC拠出60万円)

実質的な収入は変わらないのに、税負担は大幅に軽減されます。

2. 会社の経費として処理

企業型DCの拠出額は、会社の経費として処理できます。

  • 法人税の軽減効果
  • 消費税の計算基準への影響
  • 社会保険料算定基礎の軽減

3. 将来の事業承継対策

企業型DCで積み立てた資金は、完全に個人の資産となります。

将来的に事業を売却したり、承継したりする際に、経営者個人の老後資金として確保できる安心感は計り知れません。

1人社長・小規模企業経営者の成功事例

事例1:コンサルティング会社 田中社長(45歳)

導入前の悩み:

  • 高い所得税・住民税
  • 将来の年金への不安
  • 節税方法の限界

導入後の効果:

  • 年間節税額:約35万円
  • 老後資金の着実な積み上げ
  • 経営の安定感向上

田中社長の声: 「1人でも企業型DCができるなんて知りませんでした。iDeCoから切り替えて本当に良かった。数字で見える節税効果が、経営のモチベーションにもつながっています」

事例2:デザイン事務所 佐藤社長(52歳)

導入のきっかけ: 年収が上がり、税負担の重さを痛感

導入後の変化:

  • 月5万円の拠出で年間約30万円の節税
  • 手取り収入の実質的な増加
  • 老後への不安の軽減

佐藤社長の声: 「もっと早く知りたかった制度です。同じ1人社長の知人にも紹介しています」

導入時の注意点

1. 就業規則の整備

1人社長でも、就業規則の作成が必要です。

  • 企業型DC規約の策定
  • 労使合意書の作成
  • 厚生労働局への届出

2. 投資教育の義務

法律上、継続投資教育の実施が義務付けられています。

1人社長の場合:

  • 自分自身への投資教育
  • 年1回以上の実施記録
  • 運営管理機関のサポート活用

3. 運営管理機関の選び方

重視すべきポイント:

  • 手数料の透明性
  • 商品ラインナップの充実
  • サポート体制の質
  • システムの使いやすさ

iDeCoから企業型DCへの移換

「現在iDeCoに加入しているけど、企業型DCに変更できるの?」

答えは「YES」です。

移換手続きの流れ

  1. 企業型DC制度の導入
  2. iDeCoの資産移換手続き
  3. 新制度での拠出開始

移換期間中(2〜3ヶ月)は拠出できませんが、資産は引き継がれます。

移換時の注意点

  • 移換手数料:4,400円
  • 商品の変更が必要な場合がある
  • 移換期間中の拠出停止

最後に:経営者としての決断

1人社長や小規模企業の経営者にとって、企業型DCは単なる節税手段ではありません。

それは、**「経営者としての将来への備え」であり、「事業の持続性を高める投資」**なのです。

年間10万円以上の節税効果は、そのまま事業資金として活用できます。そして、将来への不安が軽減されることで、より積極的な経営判断ができるようになります。


次回は、「NISAとの組み合わせで未来を変える」について詳しくお話しします。

企業型DCとNISAを組み合わせることで生まれる、さらなる可能性について、具体的な戦略をお伝えします。

【次回予告】 「老後資金=DC、夢の実現=NISA」という役割分担の威力とは?世界株式ファンドを中心とした資産形成戦略、そして多くの経営者が見落としている「出口戦略」の重要性について、実例を交えて詳しく解説します。

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■昭和42年2月13日生 ■出身:群馬県伊勢崎市 ■住まい:群馬県高崎市 ■趣味:Audi A5でのドライブ・映画鑑賞・都市伝説・クレー射撃・狩猟 ■保有資格 ・証券外務員一種 ・投資診断士 ・相続診断士 ・二級ファイナンシャルプランニング技能士 ・AFP(日本ファイナンシャル・プランナー協会) ・福祉住環境コーディネーター